北九州から見た日本経済
西村 和芳 氏(北九州市)
地元北九州の小倉で土地家屋調査士事務所と不動産業を開業して三十二年、今年六十二歳です。三十代後半から仕事と勉強を兼ねて毎月東京出張、昨年は二十往復しました。東京在住の人が生まれ故郷の土地を売却したいという依頼が多く、それに乗ったのです。
小倉のオフィスから福岡空港、北九州空港ともドアツードアで四十分足らずです。福岡羽田間は一日四十七便、北九州羽田間は一日十五便、計六十二便あり、まさに新幹線に乗る感覚です。
私はこの二十年、日本経済の予測をテーマに東京で経済団体等で講演活動してきました。地方在住は経済予測が有利です。東京人は役人、マスコミ、エコノミストを含め総じて東京=日本と思っています。GDPが八十%位ある地方を無視して、二十%の部分のみを見て日本経済と思ってしまうのです。また、東京人は海外にあまり目を向けません。都内で大半の企業活動が完結しますが、北九州は輸出型の産業で海外に開かれているので、経済の先読がしやすいと 思います。
北九州は経済の先行指標である設備投資を目のあたりに見ることが出来、グローバルマネーや東京マネーのタイムラグもその指標になります。東京のある東証一部上場企業の不動産会社の社長に「とうとう北九州にも不動産ファンドがやってきました」と話すと「そうですか、いよいよピークを迎えましたね」と二年半前の話です。その一年後にサブプライムローン問題が発生しました。私は二年半前から全てのディベロッパーや住宅会社に不動産の取得を控え、人員を増やさないよう指示してきました。
昨年の夏以降、リーマンショック前に、経済はこれから最悪のコースを辿るので、講演活動を中止しました。厳しい話は歓迎されず予測が当たっても感謝されないからです。またいつの日か、経済以外でも政策提言や精神世界の分野でも講演を再開できればと思い、今も毎月、小倉東京間の往復は続いています。
(第一不動産(株)代表取締役社長) 福岡県人会/ 会報「東京と福岡」/ 2009年06月号 /04頁